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マンション管理は倫理的に

マンション管理は「運営」ではありません。「経営」です。

マンション管理という言葉を聞いたとき、多くの区分所有者は「日常業務を回すこと」をイメージします。

・清掃
・点検
・理事会開催
・総会準備
・修繕手配

確かにそれらは重要です。しかし、それはあくまで「運営」にすぎません。

私は、マンション管理は本質的に「経営」であると考えています。

 

1.運営と経営の決定的な違い

「運営」は、決められたことを回す行為です。
一方、「経営」は、将来を見据えて意思決定を行い、資源配分を最適化する行為です。

マンションには、

・数千万~数十億円規模の資産
・毎年数千万単位で動く管理費・修繕積立金
・数十年に及ぶ長期修繕計画

が存在します。

これは小規模企業と同等、あるいはそれ以上の規模です。

それにもかかわらず、

「前例通りでいい」
「管理会社に任せておけばよい」
「面倒だから波風を立てない」

この姿勢で本当に良いのでしょうか。

2.前例踏襲は“安全”ではありません

理事会でよく聞く言葉があります。

「今までこうだったから」
「前の理事長がそう決めたから」

しかし、前例は状況変化を考慮していません。

・建築費の高騰
・人件費の上昇
・修繕工事単価の上昇
・保険料の増額
・高経年化による設備更新の必要性

マンションを取り巻く状況は年々変化しています。

経営の世界で「前例踏襲主義」は衰退の典型例です。
マンションだけが例外であるはずがありません。

3.マンションは“共同事業体”です

区分所有法上、マンション管理組合は一部の理事の団体ではありません。
区分所有者全員で構成される団体です。

つまり、あなたは単なる居住者ではなく、共同経営者です。

しかし現実はどうでしょうか。

・総会出席率が低い
・議案を読まずに委任状提出

・修繕積立金の値上げに感情的反対
・長期的議論を避ける空気

これは経営参加とは言えません。

4.「経営」として考えると見えるもの

経営視点に立つと、見える景色が変わります。

① 財務戦略

修繕積立金は足りているのか。
値上げはいつ・どの水準で行うべきか。
借入という選択肢は合理的か。

② リスク管理

大規模修繕の発注方法は最適か。
談合・利益相反の監視体制はあるか。
施工会社選定は公正に行われているか。

③ 人材戦略

理事のなり手不足にどう対応するか。
外部専門家をどう活用するか。
理事長の属人化を防げているか

④ 情報開示

理事会の議論は共有されているか。
住民の理解を得る努力をしているか。

これらはすべて「経営課題」です。

5.理事の責任は軽くありません

理事は無報酬であることが多いですが、
責任は軽くありません。

管理不全は資産価値を毀損します。
それは全区分所有者の損失です。

理事の役割は「雑務処理」ではなく、

・方向性を示し
・意思決定を行い
・合意形成を図ること

つまり、意思決定機関の構成員です。

6.管理会社はパートナーであって経営者ではありません

ここも誤解が多い点です。

管理会社は管理組合から管理業務を委託された受託者です。
経営主体ではありません。

管理会社は提案をします。
しかし、最終責任は管理組合にあります。

「管理会社が言っているから正しい」は、
経営放棄と同じです。

専門家の意見を参考にしつつ、
主体的に判断する姿勢が不可欠です。

7.経営に必要なのは“勇気”です

経営判断には摩擦が伴います。

・積立金値上げ
・規約改正
・ルールの厳格化
・不適切行為への是正措置

これらは必ず反対意見を生みます。

しかし、衝突を恐れて先送りすることが、
最も高コストな選択になります。

8.「うちは大丈夫」は最も危険な思考

多くの管理不全マンションは、
突然管理不全に陥るわけではありません。

・小さな問題を放置しs
・負担を先送りし続ける

結果、気付いたときには修繕積立金不足、
合意形成不能、資産価値が低下どころか強制代執行による取壊し。

これは珍しい話ではありません。

9.あなたのマンションは、経営できていますか?

次の問いに即答できますか。

・10年後の財務見通し
・大規模修繕の発注方式
・将来の役員体制
・滞納対策の方針
・保険見直しの頻度

答えられないのであれば、

それは運営レベルにとどまっています。

終わりに

マンションは、
「住む場所」であると同時に
「共有資産」です。

そして管理は、
単なる日常業務ではなく
長期戦略を伴う経営行為です。

理事であるか否かにかかわらず、
区分所有者一人ひとりが
“経営当事者”であるという自覚を持つことが大事です。

そこから、
強いマンションは生まれます。

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