区分所有法 第一章 建物の区分所有 第四節 管理者は第二十五条から第二十九条までです。
区分所有法
第一章 建物の区分所有
第四節 管理者
第二十五条(選任及び解任)
(選任及び解任)
第二十五条 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
2 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。
管理者の選任
管理者の選任は、規約に別段の定めがない限り、集会の普通決議により行われる。
規約で定めれば、規約によって設置された理事会で選任することとすることができる。
管理者の解任
管理者は、規約に別段の定めがない限り、集会の普通決議によりいつでも解任することができる。
管理者は、規約に任期の定めがある場合は、原則として任期の満了により退任することになるが、任期の途中でも、集会の決議で解任することができる。
管理者の解任請求
管理者に不正な行為、その他その職務を行うことに適さない事情があるときには、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。
第二十六条(権限)
(権限)
第二十六条 管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
2 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
3 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
5 管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
第26条1項によると、管理者は以下の権利を有し、義務を負う。
共有部分、敷地、付属施設の保存行為
管理者は、規約や集会の決議によらず保存行為を 実施できる。
建物の敷地及び共有部分以外の付属施設が区分所有者の共有に属する場合は、その建物の敷地及び付属施設の保存行為を実施することもできる。
集会の決議の実行
管理者は、決議を具体的に執行する。
規約で定めた行為の実行
管理者は、共有部分等について管理行為(狭義)の一部を、管理者は委ねる規約があれば、集会の決議によらなくても、それを遂行する権利がある。
第26条2項は、管理者の代理権について。
管理者は、職務に関し区分所有者を代理する。管理者には資格制限がないので、区分所有者でなくなっても、その地位を保持することができる。
損害保険金の代理権
管理者は、以下について集会の決議や規約で定めによらず、法律上代理権を有する。
・損害保険契約に基づく保険金額
・共用部分等について生じた損害賠償金
・不当利得による返還金
の請求及び受領。
第26条3項は代理権の制限について。
管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。善意の第三者は、管理者の代理権の制限の有無や範囲を知らないからである。
第26条4項、5項は管理者の訴訟追行権について。
管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために原告又は被告となることができる。
「原告又は被告となる」とは、区分所有者の訴訟代理人となるのではなく、管理者が自己の名において当事者となることである。
管理者がした訴訟の結果として管理者は、勝訴、敗訴に関わらず、被告となった区分所有者を除いて、全区分所有者に及ぶ。
規約で定めた場合に訴訟が追行されたときは、区分所有者に通知しなければならない。
集会で定めた場合、区分所有者は管理者が訴訟をすることを知っているから通知は不要。
第二十七条(管理所有)
(管理所有)
第二十七条 管理者は、規約に特別の定めがあるときは、共用部分を所有することができる。
2 第六条第二項及び第二十条の規定は、前項の場合に準用する。
第二十八条(委任の規定の準用)
(委任の規定の準用)
第二十八条 この法律及び規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う。
委任の規定
管理者は、民法の委任に関する規定が準用されるので、その事務の処理について善良な管理者の注意義務を負い、その義務を怠って区分所有者に損害を与えた場合、賠償責任が生じる(民法644条)。
その他、
受取物の引渡し義務(同法646条)
報酬の請求権(同法486条)
費用の前払請求権・
費用等の償還請求権(同法649条650条)
委任の解除・解除の効力(同法651条、652条)
等、民法の規定が準用される。
第二十九条(区分所有者の責任等)
(区分所有者の責任等)
第二十九条 管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為につき区分所有者がその責めに任ずべき割合は、第十四条に定める割合と同一の割合とする。ただし、規約で建物並びにその敷地及び附属施設の管理に要する経費につき負担の割合が定められているときは、その割合による。
2 前項の行為により第三者が区分所有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行うことができる。
以上、区分所有法(管理者の選任及び解任)(管理者の権限)(委任の規定の準用)をまとめてみました。マンション管理士試験に向けて日々学習しています。その学習した知識をブログに書き、知識の確認と定着を試みようとしています。
出典:e-Govウェブサイト(https://www.e-gov.go.jp)
「建物の区分所有等に関する法律」(総務省)
(http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000069)を加工して作成)を加工して作成
参考文献
公益財団法人 マンション管理センター.平成30年度版 マンション管理の知識.(株)住宅新報出版,2018,978p
高橋文雄 .2018年度版 これだけ!マンション管理士 試験対策ノート.(株)建築資料研究社,2018,513p