カンリリンリン

マンション管理は倫理的に

区分所有法 第一章 建物の区分所有 第三節 敷地利用権 第二十二条(分離処分の禁止)から第二十四条

区分所有法 第一章 建物の区分所有 第三節 敷地利用権は第二十二条から第二十四条までです。

 

専有部分と敷地利用権とには一体性の原則があります。

 

建物と土地はそれぞれ別個の不動産であり、区分所有建物の敷地であっても同様です。昭和58年の改正前の区分所有法では、専有部分野の所有権と敷地利用権は、別々に処分することができました。

 

しかし、マンションの場合、取引において、専有部分の所有権と敷地利用権は一体として処分されるものであるし、これを別々に処分して、敷地利用権を伴わない専有部分を生じさせることは良いことではありません。

 

そこで、昭和58年の区分所有法の改正で、専有部分と敷地利用権は、原則として分離処分することができないこととし、不動産登記法についても登記の合理化のため改正が加えられ、専有部分の登記をすると、敷地利用権についても同様の登記がされたものとみなすことによって敷地の登記簿への登記はしないという処理をすることが可能になりました。

 

 

f:id:BLOOK69:20180714125349j:image

 

区分所有法

 第一章 建物の区分所有

  第三節 敷地利用権

 

 

第二十二条(分離処分の禁止)

 

(分離処分の禁止)
第二十二条 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。


2 前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。


3 前二項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。

 

各区分所有者は、専有部分とその専有部分に係る敷地利用権を分離してすることができない。専有部分又は敷地利用権のどちらかを処分しても無効である。

 

ただし、規約で分離処分を可能と定めれば(別段の定め)、専有部分と敷地利用権を分離処分することができる。

 

第二項は、1人の区分所有者が複数の専有部分を所有している場合、その数個の専有部分に対する敷地利用権の持分割合は、各専有部分の床面積の割合による。ただし、規約で別段の定めをすればその割合にすることができる。

 

各専有部分の床面積の割合とは、第十四条第一項から第三項までに定める割合である。

 

第十四条第一項から第三項は以下の通り。

 

(共用部分の持分の割合)
第十四条 各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。


2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。

 

3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。


4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

 

第三項は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合も同様に規約に別段の定めがない限り、専有部分と敷地利用権を分離処分できない。ということである。

 

建物の専有部分の全部を所有する者とは、例えば、分譲業者がマンションを新築した場合、分譲前に区分所有建物としてその表示の登記の申請をしたとき、又はマンションとして売り出す旨の広告をしたときには、区分所有関係が成立して、分譲業者が占有部分の全部を所有するという状態になる。

 

この場合、分譲業者がその敷地利用権として、敷地の所有権、地上権、賃借権等を単独で所有しているときは、公正証書による規約で別段の定めをしない限り、各専有部分とこれに対応する敷地利用権とを分離して処分することができないことになる。

 

ところで、規約による別段の定めにより、分離処分を認める場合とは、どのようなことがあるのだろうか。

 

例えば、棟割長屋やタウンハウスのように、敷地利用権が分有になっているときなどは、建物と敷地の関係は、一戸建ての建物と同じようなものであるから、分離処分を認めても問題はない。しかし、分譲マンションの場合は、このような分離処分を認める定めをすることは好ましいとは言えない。

 

 

第二十三条(分離処分の無効の主張の制限)

 

(分離処分の無効の主張の制限)

第二十三条 前条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反する専有部分又は敷地利用権の処分については、その無効を善意の相手方に主張することができない。ただし、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後に、その処分がされたときは、この限りでない。


各区分所有者は、専有部分とその専有部分に係る敷地利用権を分離してすることができない。専有部分又は敷地利用権のどちらかを処分しても無効である。

 

しかし、この無効を分離処分の禁止を知らない善意の相手方に対して主張することはできない

 

ただし、分離処分ができない旨の登記後の分離処分は、譲受人が善意であっても、保護されず無効である。

 

不動産取引において、登記の内容を確認しないで不動産を購入するのは譲受人として軽率であるから、このような場合まで譲受人を保護する必要はないという考えである。

 

 

第二十四条(民法第二百五十五条の適用除外)

 

(民法第二百五十五条の適用除外)
第二十四条 第二十二条第一項本文の場合には、民法第二百五十五条(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定は、敷地利用権には適用しない。

 

民法255条によると、共有者の1人がその持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないとき、その持分は他の共有者に帰属することとされ、この規定は、民法264条により所有権以外の財産権の準共有についても準用される。

 

この規定は敷地利用権が敷地の共有持分又はその地上権、質権、賃借権等の持分である場合にも適用されるから、区分所有者専有部分と敷地利用権を放棄すると、敷地利用権は他の共有者に帰属するのに対して、専有部分は国庫に帰属することになる。

 

この規定を専有部分と敷地利用権との分離処分を禁止している場合に適用されることは適当ではない。そこで、分離処分が禁止されている場合における敷地利用権には民法255条は適用しないこととされる。その結果、専有部分と敷地利用権を放棄して場合は、両方とも国庫に帰属することになる。

 

 

以上、区分所有法(敷地利用権)をまとめてみました。マンション管理士試験に向けて日々学習しています。その学習した知識をブログに書き、知識の確認と定着を試みようとしています。

 

 

出典:e-Govウェブサイト(https://www.e-gov.go.jp

「建物の区分所有等に関する法律」(総務省)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000069)を加工して作成)を加工して作成

 

参考文献

公益財団法人 マンション管理センター.平成30年度版 マンション管理の知識.(株)住宅新報出版,2018,978p

高橋文雄 .2018年度版 これだけ!マンション管理士 試験対策ノート.(株)建築資料研究社,2018,513p


 

f:id:BLOOK69:20180714125326j:image

Copyright © 2018 カンリリンリン All rights reserved.