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区分所有法 第一章 建物の区分所有 第一節 総則 第三条(区分所有者の団体)から第十条

 

区分所有法 第一章 建物の区分所有 第一節 総則は第一条から第十条までです。ここでは第三条から第十条までまとめています。

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区分所有法

 第一章 建物の区分所有

  第一節 総則

 

 

第三条(区分所有者の団体)

 

 

(区分所有者の団体)
第三条    区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。

 

 区分所有者は、分譲マンションを購入してマンションの専有部分を所有してる人である。専有部分に住んでいる必要はなく、専有部分を賃貸していてもかまわない。しかし、賃借している占有者は含まれない。

 

「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体(三条の団体)」とはマンション管理組合のことである。この団体は、設立の手続きをする必要がなく、区分所有者全員のために法律上当然に設立されら。

 

「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体(三条の団体)を構成し、」とは、分譲マンションを購入した人は全て、自動的に管理組合を構成する組合員になる、ということである。管理組合なんかに入りたくないと言ってもダメである。区分所有者である限り組合員の資格を失うことはないし、管理組合から脱退することもできない。

 

そして、

「集会を開き」=「総会を開き」、

「規約を定め」=「管理規約を定め」、

「管理者を置く」=「管理組合理事長を置く」ことができる。

 

ことができるのであって、しなければならない訳ではないところを注意しなければならない。任意規定である。

 

次に条文の後半部分「一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」だが、

 

一部共用部分とは、例えばマンション1階と2階が店舗で2階から上の階が住居の場合で、店舗部分のみで使用するエスカレーターがあるとき、そのエレベーターは一部共用部分である。そして、その一部共用部分を使用する区分所有者のみで管理する団体が構成され、

「集会を開き」=「総会を開き」、

「規約を定め」=「管理規約を定め」、

「管理者を置く」=「管理組合理事長を置く」ことができる。

 

したがって、この場合店舗部分と住居部分を合わせて管理する団体(全体管理組合)と店舗部分の一部共用部分のみを管理する団体(一部管理組合とか店舗部会など)が並存することになりる。店舗の区分所有者は2つの団体の構成員になりる。

 

しかし、一部共用部分も全て全体管理組合で管理する場合は、一部共用部分のみを管理する団体は存在しないことになる。

 

ところで、区分所有者の団体(管理組合)の法的性質はどのようなものだろうか。

 

管理組合は「法人」化できます(第6節 管理組合法人)。法人となれば、権利能力が認められるので、法人の名義で預金口座を作ったり、不動産の登記をしたりすることができる。

 

しかし、このような法人化していない管理組合はどのような性格を有しているかについて、区分所有法は特に性格付けをしていない。したがって、法人ではない任意の団体という感じの受け取り方でいいかと思う。

 

ただし、団体が「権利能力なき社団」として認められる場合がある。それには、「団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にかかわらず団体が存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての主要な点が確定していることを要する」(最判昭39.10.15)

 

したがって、

「集会を開き」=「総会を開き」、

「規約を定め」=「管理規約を定め」、

「管理者を置く」=「管理組合理事長を置く」ことをしていない団体は「権利能力なき社団」として認められないことになる。

 

 

第四条(共用部分)

 

 (共用部分)
第四条 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。


2 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 

 

第五条(規約による建物の敷地)

 

(規約による建物の敷地)
第五条 区分所有者が建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用をする庭、通路その他の土地は、規約により建物の敷地とすることができる。


2 建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となったときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となったときも、同様とする。

 

建物が所在していない土地で、建物及び建物が所在する土地と一体として管理又は使用する庭、通路その他の土地を規約により建物の敷地としたものを規約敷地という。

 

第五条第二項は、みなし規約敷地ついて規定している。みなし規約敷地には、建物の一部滅失によるものと、敷地の分割によるものとがある。

 

建物の一部滅失による、みなし規約敷地とは法定敷地Aと法定敷地Bがあり、法定敷地Aに建物A、法定敷地Bに建物Bが所在していた場合に、建物Bが滅失して法定敷地Bに建物が存在しなくなったとき、法定敷地Bは規約で建物の敷地と定められたものとみなし、みなし規約敷地となる。

 

敷地の分割による、みなし規約敷地とは法定敷地の一部が、分割(分筆)によって建物の存在しない土地になった場合、その土地は規約で建物の敷地と定められたものとみなし、みなし規約敷地となる。

 

 

第六条(区分所有者の権利義務等)

 

区分所有者の権利義務等)
第六条 区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。


2 区分所有者は、その専有部分又は共用部分を保存し、又は改良するため必要な範囲内において、他の区分所有者の専有部分又は自己の所有に属しない共用部分の使用を請求することができる。この場合において、他の区分所有者が損害を受けたときは、その償金を支払わなければならない。


3 第一項の規定は、区分所有者以外の専有部分の占有者(以下「占有者」という。)に準用する。

 

 

第七条(先取特権)

 

(先取特権)
第七条 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。


2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。


3 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三百十九条の規定は、第一項の先取特権に準用する。

 

 

第ハ条(特定承継人の責任)


(特定承継人の責任)

第八条 前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。

 

 

第九条 (建物の設置又は保存の瑕疵かしに関する推定)


(建物の設置又は保存の瑕疵かしに関する推定)
第九条 建物の設置又は保存に瑕疵かしがあることにより他人に損害を生じたときは、その瑕疵かしは、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。

 

 

第十条 (区分所有権売渡請求権)


(区分所有権売渡請求権)
第十条 敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

敷地利用権が借地権であるマンションの区分所有者が、地代の不払いにより土地賃貸借契約を解除されると、敷地利用権を失い専有部分を撤去しなければならなくなる。しかし、マンションから1つの専有部分だけ撤去することはできない。

 

そこで、土地所有者は、敷地利用権を持たない区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すことを請求できることとした。

 

この区分所有権売渡請求権は形成権であり、区分所有者の承諾は必要なく、請求するだけで一方的に売買契約が成立する。

 

形成権とは、権利行使の意思表示をすれば、相手方の意思表示に関係なく効果が生じる権利である。

 

区分所有法では、区分所有権売渡請求権の他、建物大規模滅失の場合の復旧工事における買取請求権(同61条7項)、建替え工事における区分所有権等の売渡請求権(同63条4項)は形成権であるとされている。

 

 

以上、区分所有法  第一章 建物の区分所有  第一節 総則  第三条(区分所有者の団体)をまとめてみました。マンション管理士試験に向けて日々学習しています。その学習した知識をブログに書き、知識の確認と定着を試みようとしています。

 

 

出典:e-Govウェブサイト(https://www.e-gov.go.jp

「建物の区分所有等に関する法律」(総務省)
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=337AC0000000069)を加工して作成)を加工して作成

 

参考文献

公益財団法人 マンション管理センター.平成30年度版 マンション管理の知識.(株)住宅新報出版,2018,978p

高橋文雄 .2018年度版 これだけ!マンション管理士 試験対策ノート.(株)建築資料研究社,2018,513p

 

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